『owns』が拓くビジネスと文化の可能性とは
『owns』が拓くビジネスと文化の可能性とは
憩いの場を創る
オフィス環境
NTTアーバンソリューションズグループは、まちに、社会に、さまざまな価値を提供することにより、地域社会の課題解決に取り組んでいます。本シリーズでは、その取り組みを具体的にご紹介。
今回取り上げるのは、「集まりたくなる場所」を追求して生まれたNTT都市開発の新オフィスブランド『owns』。新しい働き方へといざなうコンセプトが注目されています。今回は『owns』のブランドパートナーであるarca辻愛沙子代表を迎え、プロジェクトメンバーと共に、ブランディング秘話、『owns』の魅力とめざすものやそこから得られるベネフィットについて、語り合っていただきました。
物件概要
物件名:owns平河町
江戸城のお膝元として武家屋敷が置かれていた歴史ある地域。Formalityをテーマに、街から着想を得た素材やアートを展開。環境認証「ZEB ready」取得。所在:東京都千代田区平河町二丁目4-4 竣工:2024年9月 延床面積:1,940.64㎡ 基準階面積:176.92㎡
インタビュー
お話を伺った方
株式会社arca
CEO,Creative Director
辻愛沙子
NTT都市開発株式会社
開発本部
開発推進部
担当課長 佐々木智司
NTT都市開発株式会社
開発本部
開発推進部
川﨑玲央奈
NTT都市開発株式会社
開発本部
開発推進部
山口恵里奈
コロナ禍に生じた「そもそもオフィスとは」という問い
新たなオフィスブランド『owns』の開発に至る経緯について教えてください。
佐々木:「owns」は、コロナ禍で出社ができなくなった時代に、「そもそもオフィスは何をするところなのか」という問題提起からスタートした企画です。新しい試みという意味では、これまで弊社は大手企業向けを手掛けてきており、アプローチできていなかったベンチャーやスタートアップといった勢いのあるマーケットのニーズ調査を行いました。「オフィスに何を求めるか」を、約半年かけていくつもの企業にヒアリングしてきました。
辻:最初のオリエンテーションで、半年間で得た現場の声を反映したからこそ、というところが腑に落ちました。ご一緒させていただくまで、NTT都市開発さんには「絶対的な道筋を持つ大手企業としての権威」というイメージを持っていましたが、むしろ一方的な正解を提示するのではなく、「余白」や「問い」からプロジェクトを設計し、ユーザーのリアルな声から場を作り上げていくようなインクルーシブな印象を持ちました。
ブランドコンセプトに至る経緯についてお聞かせください。
佐々木:新しいことをしたい、これまで我々が知らない世界の方とコラボレーションしたいと思っていたところ、今回の企画に共鳴してくださるUDSさんに、最初は間に入っていただく形で辻さんとお引き合わせいただきました。
川﨑:プロジェクトが立ち上がったのは2021年。「オフィス不要論」が唱えられ、オフィス縮小が進み、テナントの解約が続いていた中で『owns』の企画が始まりました。これまでとは同じようなことをしていては駄目だという想いを抱えて企画を進めていく中で、「みんなが集まりたい場所」を作りたいという想いはあったものの、しっくりくるコンセプトワードが見つからなかったんです。そこを辻さんにかみ砕いて頂いて、提案してもらった表現には私自身も非常に腑に落ちました。
山口 :『owns』の名前の意味を聞いたとき「自分事化」という辻さんの言葉が刺さりました。自分たちで場所を作り、その場所を使う。できあがった空間ではなく、入居される方々が作っていく空間。私たちが作りたい『owns』 という空間はこれなのだと腑に落ちました。
辻:とても嬉しいです。私は逆の立場から申し上げると、『大手デベロッパー』のイメージが皆さんとの関わりによって大きく変わったように思います。佐々木さんのボトムアップを大事にする柔らかいリーダー像や、大手だからといって権威的であったり前例踏襲型の意思決定ではなく、どこまでもフラットで風通しが良いチームの空気感。柔軟でオリジナリティのある感性や意思決定と、大手ゆえの実行力や組織力。剛柔どちらかだけではない皆さんのバランス感覚が、インクルーシブな新しいオフィスブランドを作り上げる素地になっているのだと感じました。その最たるものが、プロジェクトに関わる全員の声をヒアリングすることだと思います。チームのみなさんとのミーティングでは、上司の一声で決まるような旧態依然とした進行ではなく、毎回それぞれみなさんの個性を感じながらひとつの方向にユナイトしていく感じが印象的で。そんな制作チームの個性が反映されたような、「集まるとどうなる?」という問いに応えていくような人間味や多様さあふれるロゴタイプができあがりました。
仕事は作業だけではない「その人と何をするか」が大事
これからのハイブリットな働き方についての考察をお願いします。
佐々木:リモートワークの利点は大きいですが、やはり出社して先輩と後輩が会って机を並べてわかることも絶対にある。「集まる」の意味には、個人作業をしに行くより、誰かと会って一緒にやるということが込められています。軽口を言い合いながらの方が、多様な意見が出てくるものです。
辻:「集まれ」ではなく「集まるとどうなる?」がポイント。まさに「自分事」です。働く人も、寡黙な職人タイプもいればおしゃべりな人もいる。思いや表現、集まることの意味もそれぞれ違います。「自分はこのために集まる」ということをそれぞれに委ねていく。たとえフルリモートでも、なぜか会いたくなるし、オフィスに行きたくなる。リモートのみだと「管理」に偏りがちですが、集まることで「お互いの主体性を信じる」ことができるのだと思います。
川﨑:チャットの文面だけだと相手の人柄がわからず、固く感じることがあります。それがリモートワークで距離が縮まらない要因の一つ。集まって一緒に働いた方が、それぞれが持つ熱量をシェアできて、よりいいものを作っていけるということを、コロナ禍から学びました。
山口:仕事は、「人と何かをすること」です。オフィスで顔を合わせてしゃべって、その後にある雑談で、もしかしたら新しい発想が生まれるかもしれません。私はその雑談の「余白」が好きですね。
名称とロゴに込められた思いをお聞かせください。
辻:現代は、「変わらない安定さ」が溢れている時代だと思っています。地方都市はどこにも近しい大型ショッピングモールがあり、全世界にチェーン展開しているコーヒーショップや、どこで買っても一定の品質の品物が手に入る大手服飾店が立ち並びます。日本全国同じコンビニがどこにでもある安心感も、便利さを手に入れた現代における一つの価値です。ただ、当たる前のように「同じ」が溢れる現代だからこそ、反対にそこにしかない、あるいは自分たちならではの「意味」や「固有性」が求められるようになりつつあるのではと考えています。『owns』にマッチする企業と同じ規模の組織を運営している者として、「らしさってなんだろう」と自ら問いかけました。コモディティ化していない固有性をロゴと名前に宿すため、まず「違いがあるからこその強さ」を意識。ロゴマークは、それぞれの個性が集うことの意味を表しました。一丸となって目標に向かうというモチベーションは、同質性を高めるのではなく、多様性から導かれる新しい個性をチームにもたらします。個性を重んじたまま輪になることを、積み木を並べたり重ねたりするイメージに結びつけました。そして、英文をあえて小文字に近い形状することで、柔らかく権威的ではない、文化的でウェルカムな印象を演出しました。
佐々木:辻さんから最初のプレゼンテーションをいただいたとき、「納得感しかない」くらいの衝撃を受けました。社外に向けて発信していく言葉がプロフェッショナルで、脱帽しました。
ブランドロゴ
(owns平河町の館銘板)
『owns』は、これからのハイブリットな働き方にどんな役割を果たしますか?
佐々木:入居者のみなさんによって使い方は多様であってほしいですね。「そんな使い方が!」とこちらが驚くこともあると思います。「集まる」がキーワードですが、リモートワークの利点も多い。リモートがあるから、むしろ集まった時に面白いことが起こるのかもしれません。
辻:確かに二項対立ではありませんよね。リモートがあるから、子育て中でも海外でも場所を問わず多様な人たちがともに働けます。日々はそれぞれが一番働きやすい環境で活躍しつつ、時々ふと実家や行きつけの店を思い出して安心するように、みんなが集う拠点としてのオフィスを思い出す。人の温度を感じられる、帰る場所があるのはとても大事なことです。『owns』にも、「行きたくなる、集いたくなる、帰りたくなる」内装がしつらえてあります。
佐々木:働き方を画一化して想定すること自体が、間違っているのだと感じます。作り込み過ぎない「余白」から、新しいアイデアも、新しい働き方も生まれるのではないでしょうか。
<コラム>ownsの展開する5つの強み
- 熱量もリラックスも一堂に会する、集いたくなる空間
- プライベート空間を出た先に広がる、多様な居場所
- より深く、より親睦を深められる飲食スペース
- 規模やタイミングに合わせて柔軟に拡張できる働く場所
- 心ゆたかに働くための、未来につながるサスティナブルな環境
(詳細はこちら)
『owns』の強みがもたらす価値は、どのようなものですか?
川﨑:『owns』には5つの強みがあります。5番目に打ち出している「心ゆたかに働くための未来に繋がるサスティナブルな環境」を挙げると、環境認証「ZEB ready」を取得済みで、今後竣工される『owns』ブランドにおいても取得予定です。入退館のセキュリティも、プラスチックのカードではなく、スマートフォンと顔認証を採用。会議室のサインも再生紙を使うなど、細やかなところまで環境配慮に取り組んでいるのが魅力です。
山口:2番目に「プライベート空間を出た先に広がる、多様な居場所」を掲げていますが、『owns』は共用ラウンジや屋上テラスなど、共用空間が充実しているのも魅力の一つです。私自身も「会社とは、白い壁、机に向かってPCをカタカタするところ」と思って入社しましたが、先日、チームメンバーの一人が1号物件の「owns平河町」のバルコニーで打ち合わせをしている姿を見て、新鮮な印象がありました。「こうした働き方もしていい、自分たちで好きなように働く生き方を選んでいいのだ」と感じました。
川﨑:屋上テラスで働くのが一番好きという人もいれば、共用ラウンジが一番という人がいていいのだと思います。自分のお気に入りの居場所、働く場を見つけてもらえるとうれしいです。外の空気や匂いを感じた方が、頭がスッキリすることもありますよね。
辻:その方が、きっと生産性も上がるんじゃないかと思います。
再生紙を用いたサイン
共用テラス
AI時代に重要になる 働く人の主体性とオフィスのあり方
オフィスでのリアルなコミュニケーションだからこそ得られる価値とは?
辻: リアルなコミュニケーションは簡略化できないものなので、その人ならではの魅力が出ますよね。要約されたAIのような会話では、その人らしさが見えない。ビジネスの大半は合理的な原動力により動いていると思われがちですが、あくまで人間が介在している以上、実は感情的な部分がプロセスや結果に影響を与えることは多々あるものです。そしてそれは決して悪いことではありません。AIが当たり前になっていく社会だからこそ、人を人たらしめる"感情"に目を向けることがこれからのビジネスには求められるのだと思います。「お客さまがなぜそれを選ぶのか」は感情の最たるもの。ともに働く相手にも、「作業」だけを求めるのではなく「その人」である意義を感じ合えるチームであることが大事です。なぜお互いが一緒に取り組むのか、価値観を共有していくことがこの規模感の企業にとって大切なことであり、AI時代にますます重要になっていくのではないでしょうか。
『owns』と、新しい働き方についての展望を聞かせてください。
川﨑:入居した方が自分のお気に入り場所を見つけてくれるとうれしいですね。物件ごとにカラーがあるので、入居していない他の『owns』も使っていただき、ファンを増やしていきたいです。
山口:入居者の方には、「余白」を埋めていただく作業をしてもらえればと思います。その「余白」の色で、「owns平河町」という物件がもっとおもしろいものになっていけばうれしいです。
辻: 街にはその場所ならではの歴史の積み重ねがあります。『owns』の制作プロセスの中で印象的だったのは、内装や素材を選ぶ際も「平河町はどういう街か」というところからくみ取っていたこと。街からインスピレーションを得て「こういう働き方があるのではないか」というベースから組み立てられており、そこにはその街固有の文化が宿ります。便利な商業ビルが増えるのはうれしいけど、個性的な喫茶店が減るのは寂しい。『owns』はその両方を叶える、利便性と固有性をつないでくれる場所だと思います。これから拠点が増えていくにつれ、個性を持った場所がそれぞれ際立っていくと思うとワクワクします。
また、「このビルに入ったから、この場に来たから生まれた事業」という可能性も感じます。ビルのアートがインスピレーションを与えたり、テナント同士でつながったり、そんな新しい動きが胎動する「予感」を持った方々が集まってくださる気がします。
今後も『owns』は各地に展開されていくんですね。
佐々木:『owns』は2024年12月に新橋、2025年2月に日本橋が竣工。2025年7月には八丁堀の竣工を予定しており、その後も、毎年コンスタントに増やしていけたらと考えています。今後の物件においても、屋上菜園やWeb配信設備が用意されたブース、日本庭園のような会議室など、多様な仕掛けを施していきたいです。
owns新橋
owns日本橋
owns八丁堀
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