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「FUTURE CITY FORECAST vol.2」は、ICTを中心としながらさまざまな領域から街づくりへと携わるNTTアーバンソリューションズグループのプロジェクトメンバーとともにつくられました。2040年の未来を構想するこのプロジェクトを通じて、メンバーたちはこれからどのように街が変化していくと考えているのでしょうか。異なる会社・部署から集まった5人のメンバーによる座談会からは、「街づくり」ではなく「街育て」というNTTアーバンソリューションズグループらしい街と人との関わり方が浮かび上がりました。

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ICTを街づくりの領域へ

――今回の座談会へご参加されたみなさんはそれぞれ異なる立場から街づくりに携わられています。まずはなぜみなさんがNTTアーバンソリューションズやNTT都市開発で街づくりに携わることになったのか教えていただけないでしょうか。

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岸 裕子 : NTTアーバンソリューションズ株式会社 デジタルイノベーション推進部 主査
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岸 わたしは以前別の会社でアプリ開発に携わっていたのですが、都市におけるIoT活用のようにもっと変化が目に見えやすい領域に関わってみたくなりNTTアーバンソリューションズに入社しました。現在はデジタルイノベーション推進部でICTを使った体験の創出に取り組んでいます。

鎌田 わたしは大学で建築を学んでいる中で空間や都市という中で建物にかかわる仕事がしたいとデベロッパーを志望しNTT都市開発に入りました。いまは住宅事業本部で新築マンション・戸建てからサービス付き高齢者向け住宅に至るまで、さまざまな住まいの提供に携わっています。岸さんの部署が象徴的ですが、2010年代後半からテクノロジーの活用が進んでいき、住宅の領域でもNTTグループの持つアセットを活かしながら、「次世代住宅」という少し先の視点での検討がどんどん強まってきていると思います。

吉川 鎌田さんと同じくわたしももともと建築を学んでいて、設計に留まらず建築や都市に多面的に関われるデベロッパーは魅力的だと思っていました。ICTの活用に限らず、わたしが入社した当時から新しいことにチャレンジしようとする精神は息づいているように感じますね。わたしが所属する都市建築デザイン部は都市・建築におけるエンジニアリング・デザインを基軸として街づくりを推進していて、現在は内幸町の開発プロジェクト「TOKYO CROSS PARK構想」にも携わっています。

久保田 お二人と違ってわたしは文系出身なのですが、子どもの頃シンガポールに住んでいたときに街がつくられていくシーンを鮮明に覚えていたこともあって、街づくりに携わりたいと思っていました。わたしが所属するビル事業本部でもこの数年でICT活用が活発になっていて、デジタルイノベーション推進部の方とディスカッションする機会も増えています。ビルのリーシング戦略や価値の最大化を考えるうえでも、ICTは必要不可欠だと思います。

馬場崎 みなさんと違って、わたしはNTTの研究職から建築エネルギーソリューション部へと移ってきました。もともと電力システムの研究に携わっていて、最近は太陽光発電故障分析や地域の効率的な電力運用、ビルの消費電力管理など、エネルギー管理に関する事業に取り組んできました。特に現在は、カーボンニュートラルな社会をめざして「BEMS」というビルのエネルギーマネジメントシステムの普及を進めています。

ふたつの視点から未来を問う

――「FUTURE CITY FORECAST vol.2」は、「GREEN」「MOBILITY」「NATURAL」という3つのテーマをベースに2040年の未来を構想することで、これからの街づくりを考えるプロジェクトでした。みなさんは日々の業務のなかで未来についてどのように考えているのでしょうか。

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久保田 雄也 : NTT都市開発株式会社 ビル事業本部 担当
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久保田 今回の取り組みはプロトタイピング的な手法を通じて未来を構想しましたが、日々の業務でも数十年先の未来を考えることは重要だと感じます。たとえば住宅はいま買った家に数十年間住みつづける可能性がありますし、GREENのテーマを通じて議論検討したような環境との調和を考えるうえでも、次の世代へ受け継がれるようなものをつくっていかなければいけないな、と。

鎌田 わたしたちが開発している住宅ブランド「Wellith(ウエリス)」も「今も、未来も、心地いい」をブランドスローガンとして掲げていて、同時代的な流行だけでなく普遍的に心地よく住み続けられる住まいをめざしています。住宅事業は2030〜2040年の人口動態を想定しながらも2〜3年先の暮らしを考えるものなので、短期的な未来に向けて実証実験を重ねながら次世代のスタンダードとなる住宅のあり方を模索していけるところが刺激的ですね。

吉川 ひとくちに「未来」といっても、どんなスパンを想定するかによって重要なポイントも変わりますよね。長期的な未来を考えるうえでは、おふたりが仰るとおり普遍的な美しさや快適性の追求が重要になりますが、ICTの活用はテクノロジーの進化に応じて短期的にさまざまな取組を進める必要があります。わたしが携わっている内幸町のプロジェクトでも、エレベーター計画のように何十年経っても使い続ける骨格のような部分では普遍的な快適性を意識する一方で、ICTの活用についてはどんなテクノロジーが登場しても柔軟に対応できるような建物設備の設計を心がけています。

岸 まさにその可変的な部分を担っているのがデジタルイノベーション推進部ですね。テクノロジーはあくまでも手段なので、わたしたちとしても単なるテクノロジートレンドではなく長期のビジョンを意識するようにしています。

馬場崎 いまは社会の変化も激しいですし、テクノロジーの面でもアジャイルな開発が増えています。とくに最近はPoC(Proof of Concept)を行う機会が増えていて、前もってかっちり計画するのではなく、新たなサービスやプロダクトを検証しながら活用していくことが多いですね。

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行動変容を促す環境づくり

――3つのテーマのなかでも「GREEN」というテーマは都市と環境の関係性を問うものでしたが、環境に関わる取り組みはあらゆるビジネスに広がっている印象を受けます。

吉川 圭司 : NTT都市開発株式会社 都市建築デザイン部 担当課長代理 画像
吉川 圭司 : NTT都市開発株式会社 都市建築デザイン部 担当課長代理
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久保田 そうですね。ビル事業に携わるなかでも、近年は再生エネルギーを使っているかどうかで入居するビルを決めるテナントさまもいらっしゃいますし、多くの人の意識が変わってきていると感じます。

吉川 企業の姿勢が問われていますよね。街づくりにおけるエネルギーのあり方については、内幸町のプロジェクトでも「Just Enough Energy」というキーワードを基に計画しています。これまでビルの電源容量は多ければ多いほど高スペックで良いと考えられていたのですが、実際にはそこまで使われておらず過剰投資になっていることも多かったんです。そこでわたしたちはセンサーや計量器を通じて実態に合わせたエネルギー提供を行うことで、環境負荷の低いビルをつくろうとしています。近年は「ZEB(Net Zero Energy Building)」のようなエネルギー自立度の高いビルが注目されていますが、単にお金を払ってクリーンエネルギーを導入するだけではなく、街づくり全体を考えるうえではオンサイトでやるべきこともたくさんあるでしょう。また、長期的な未来を考えれば都市林業のような産業が広がる可能性もありますし、都市の中でしっかり自然をつくっていくことも大事ではないでしょうか。

鎌田 同じ街づくりでも、B2BとB2Cでエネルギーに関するアプローチも変わりますね。B2Bにおいては、環境負荷低減のために賃料が上がったとしてもブランディングに必要な取り組みとしてコストを受け入れていただけることも多いですが、B2Cを考えると必ずしもそうとは限りません。環境に配慮したマンションの方がローン控除を多く受けられるなど、建物だけでなく制度設計も含めて、多くの人が無理なく環境負荷の低い選択肢を選べるような社会の動きが起きつつあります。そんななかで、われわれデベロッパーはしっかりと環境負荷低減という社会課題に対応した商品をご提供することで、個人が住まい選びで環境対策に参画できるような橋渡し的な役割を担っているのかなと感じます。

馬場崎 カーボンニュートラルの観点では、再エネも大事ですが、電力消費を抑えることもとても大事だと思います。ビルではBEMSを使ってエネルギーの見える化をして、それを分析して、より効率のいいエネルギー消費を行うことが大事です。その上で、さらに効率のいいエネルギー消費を促すために、近年は行動経済学的なアプローチが採られることも増えていますよね。個人の行動変容を促すためには、人それぞれの特性を理解することが大事なのかな、と。

岸 環境への配慮は必要不可欠ですが、義務感から環境負荷を下げようとするのではなく日々の暮らしのなかで環境を大切にしたいと自然に感じられるような街をつくりたいですよね。たとえば都心のビルにいても緑があったり生物の多様性を感じられたりすれば環境へ意識が向きやすくなるはずですし、自然に一人ひとりの行動も変わっていきそうです。

移動が変われば場所の価値も変わる

――行動変容という観点は「MOBILITY」というテーマにもつながりそうです。モビリティの進化によって移動形態が変わると人々の行動も変わっていきますよね。

鎌田 理紗 : NTT都市開発株式会社 住宅事業本部 担当課長代理 画像
鎌田 理紗 : NTT都市開発株式会社 住宅事業本部 担当課長代理
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吉川 ロボットによる自動配送はすでに現実的なものとなりつつありますし、モノの移動が変わることで人の動きも変わっていくでしょうね。

久保田 法改正も必要ではありますが、長期的な変化を考えると、ドローン配送のように空のモビリティが普及すると大きく街の風景も変わりそうです。

鎌田 空のモビリティが実現すると、ビルのあり方も変わると思うんです。いまは道路が前提となっているのでエントランスは1階にあるし多くの人が通る1階の店舗に価値がありますが、空の移動が普及すればエントランスは上層階になるかもしれませんから。

吉川 モビリティやテクノロジーの発展によって場所の価値も変わるわけですね。実際のところ、ヘリポートを使わせてほしいという問い合わせは近年増えていて、少しずつ移動の変化は進んでいる気がします。リニアやドローンといったモビリティの変化とシェアモビリティのような移動のあり方の変化――ふたつの変化が進めば、都市のインフラそのものが変わっていくでしょう。

岸 リニアの開通によって不動産価値も変わりそうですよね。交通インフラが変わっていけば、現代のように駅を中心とした街づくりとは異なるあり方が模索されていくことになる気がします。

吉川 近代以降の都市計画ではオフィスや住宅など地域ごとに用途地域が設定され、人口増加の受け皿として働きやすい/住みやすいという機能分担をしながら街がつくられてきましたが、今後人口が減っていけばひとつの地域に複数の機能があった方が住みやすいかもしれません。少子高齢化による社会の変化を見据えて、いまとは異なる未来像をわたしたちデベロッパーが考えていかなければいけませんよね。

久保田 街づくりにおいては第三次産業の集中した都市が想起されがちですが、実際には農業や漁業といった第一次産業を中心とした都市もたくさんありますし、さまざまな都市のあり方を考える必要があるでしょう。NTTグループとしては近年農業DXにも注力していますし、NTTの持つ技術を活用したアプローチも今後は進んでいくはずです。

馬場崎 高齢化が進む地域では、モビリティスーツのように歩行をアシストするテクノロジーも重要だと感じます。もちろん交通インフラの改革も必要だと思うのですが、個人のウェルビーイングを考えるうえでは自転車に乗ったり歩いたりするなど自分の力で移動することも大事ではないでしょうか。自転車や徒歩の移動が増えれば環境負荷も下がりますから。

吉川 単に新しいモビリティがあればいいわけではありませんからね。移動が増えると環境負荷も高まるので、単に移動手段を増やすだけでなく環境と調和したモビリティの設計も必要でしょう。

岸 MaaSのようなアプローチを通じた移動の最適化は、デジタルイノベーション本部が取り組む領域でもあります。ICTを活用しながらモビリティの面でも環境と調和したインフラをつくっていきたいです。

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「つくる」のではなく
「育てる」

――3つめのテーマである「NATURAL」とは、ここまで語られてきたような行動変容を自然に促す仕組みをつくることや、今後人口減少が予想されている地域で暮らす人々も自然にテクノロジーの恩恵を受けられる環境をつくっていくことなのだと感じます。

馬場崎 忠利 : NTT アーバンソリューションズ株式会社 街づくり推進本部 建築エネルギーソリューション部 担当部長 画像
馬場崎 忠利 : NTT アーバンソリューションズ株式会社 街づくり推進本部 建築エネルギーソリューション部 担当部長
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久保田 今後は一人ひとりが持っているデバイスがコンシェルジュとして機能していく気がします。デバイスが人の機微を感じ取って適切な対応を行ってくれるようになると、エネルギー消費や移動の最適化においても大きな変化が生じそうです。

岸 そうですよね。ICTは「ツール」ではなく「パートナー」になっていくと思うんです。

吉川 単なる最適化や自動化ではなくて、ICTを通じて新たな感性や出会いをつくりだせるといいですよね。

岸 コロナ禍以降はリモート化によってコミュニケーションのあり方も変わってきているので、ICTを通じて人と人のコミュニケーションを豊かにする方法も考えていきたいです。

馬場崎 リモートワークは一般化しましたが、雑談が減ってしまうなどコミュニケーションの面ではまだまだ課題も多いですからね。NTTグループが持つ「IOWN」のような低消費電力かつ高速・大容量のネットワークが普及すれば、3Dホログラムのような形でどこにいてもチームと一体感のある働き方ができる日が来るかもしれません。

――NTTグループが有するさまざまなテクノロジーを街づくりへと活用できることがNTTアーバンソリューションズグループの持つ強みのひとつなのかもしれませんね。最後に、みなさんが考えるNTTアーバンソリューションズグループらしさについてお聞かせいただけないでしょうか。

馬場崎 「街づくり」というとデベロッパーが中心となってビジョンを提示し地域を牽引するイメージがあるかもしれませんが、わたしたちは地域の人々と一緒にどんな街をめざしていくか考える姿勢を持っていると思います。「わが まち みらい」というコピーが使われているように、各地域に住む方々が自分の街だと思えるような街をめざしていくのがわたしたちらしさなのかな、と。また、NTTアーバンソリューションズグループらしさにNTTを加えるなら、建物を30年50年で考えてつくっていくという話がありましたが、研究所も30年や50年後を考えて研究しています。すべてが成果につながるわけではありませんが、いろいろなことを考えて、いろいろなことを研究、模索しています。建物だけでなく、技術、サービスも30〜50年先を考えているということも、NTTアーバンソリューションズグループらしさではないかと思います。

鎌田 人々を引っ張っていくというより、押し上げていく感じですよね。わたしが新卒で入社したころからその姿勢は変わっていないと思います。

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久保田 何か一つのモデルをつくってあちこちに展開していくのではなく、一つひとつの地域に寄り添いながらプロジェクトに取り組んでいる人が多いと思います。単に新しいものを押し付けるのではなく、もともと地域に根ざしていた文化も取り入れながら街づくりを進めていくことが大きな特徴ですね。それは「温故知新」のような姿勢と言えるかもしれません。

岸 NTTグループは経営戦略のなかで「Your Value Partner」をめざすことをビジョンとして掲げているのですが、まさに地域の方々のパートナーになっていくことがNTTアーバンソリューションズグループらしさだと感じます。地域の方々から信頼される会社をめざして活動することは、NTTグループのDNAでもありますね。

吉川 馬場崎さんの言うように「街づくり」という言葉はどこか「0→1」で新しいものを創造する未来志向のイメージが強いですが、わたしたちは「つくる」というより「育てる」という感覚を強く持っています。「街づくり」ではなく「街育て」に取り組む会社なのだなと。単に目先のKPIを追うだけではなく、地域の方々のパートナーとなって愛情を注ぎながらみんなで街を育てていくことが、NTTアーバンソリューションズグループらしさなのかもしれません。

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    馬場崎 忠利

    NTTアーバンソリューションズ株式会社 街づくり推進本部 建築エネルギーソリューション部 担当部長
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    鎌田 理紗

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    久保田 雄也

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NTTアーバンソリューションズグループとは? NTTアーバンソリューションズグループとは?

2019年7月、NTTグループならではの街づくりを推進するべく、NTTアーバンソリューションズグループが発足しました。総合不動産会社のNTT都市開発と、建築・エネルギーの専門集団であるNTTファシリティーズなどを傘下に置き、地域の自治体、行政、企業などとコラボレーションしながら各都市・地域の課題を解決し、歴史や文化など地域の個性を生かした街づくりをめざしています。

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