タスクやコミュニケーションを
時間と空間から解放
赤坂:今回開発を行った街区は、2005年にアーバンネット名古屋ビルとして複合ビル開発を行っており、その隣に位置する対象地の取得機会に恵まれたことが開発のきっかけです。もともと名古屋の賑わいの中心地といえば栄だったのですが、近年は名古屋駅前で大きな開発が進んできて、賑わいの中心も名古屋駅前に移り始めていた時期でした。そこで再び栄に賑わいを呼び戻すという目標を掲げ、街区全体を改めて開発するという流れに至りました。
今回の街区のコンセプトは「タスクやコミュニケーションを時間と空間から解放し、新たな発見と創造を生み出す場」です。この街区を利用される方々がワクワクして働き、過ごすということで「幸福働(動)」ということで開発を進めて参りました。働くの「働」と使う方の目的によって変わる「動」きという言葉をかけて、このように名付けました。このコンセプトで開発がはじまったのはコロナ禍の前だったのですが、この数年変化した生活様式の中で、今の時代にもあったコンセプトになっているのではないかと思います。
大崎:そうですね。街区コンセプトを受けて「デジタル×街づくり」をどう実現するかを検討してきました。デジタルをデータと捉えるのであれば、取得したデータそのものは単純な結果でしかなく、そのデータを分析し人の目を通して読み解き、既存のサービスの改良や新規サービスに活用して「幸福働(動)」を実現できるように考えています。
街づくりDTC®を実装した
初めての次世代型先進オフィス
赤坂:今回のアーバンネット名古屋ネクスタビルは、次世代型オフィス第1号案件と位置付け、NTTグループらしさとしてICTを最大限に活用することによって、今までと違う街づくりを強化することをめざしました。これは開発計画が進む過程の中で決まったわけですが、そのタイミングで当初計画から改めてターゲットの見直しや、そのターゲットが求めるニーズや価値は何かということを徹底的に洗い出ししました。また最先端のツールを導入するということは、今まで使ったことがないわけですから、ツールの選定はもちろんのこと、そのコストコントロールや現場での設計施工対応も大きなチャレンジでした。
大崎:ICTの最大限の活用ということなので、どう分析して運用するかは現在も進行中の課題ですね。個人情報保護の観点からもサービスを組み立てる必要があり、NTTグループをはじめ、チームメンバーやいろいろな方々のご意見も聞きながら進めています。サービスの実証では、街づくりDTC®を活用して、仮想空間での予測・シミュレーションの結果を実際の世界に反映することをめざします。
例えば、人の混雑度から快適な空調設定をするようなサービスを、まずは共用スペースから行います。また、人の流れを予測して最適なロボット配送を行う実証を行う予定です。
赤坂:ICTツールの選定においては、世の中にあるツールを並べてその中から導入できそうなものを選ぶということではなく、お客様にどのような価値を提供したいか、それを実現するための手段として最適なものはどれかという考え方から選定を行いました。
大崎:そうですね。ICTはコンセプトを実現するための手段です。アーバンネット名古屋ネクスタビルでは、2階に入居者専用のワーカーズラウンジがあり、20階の屋上テラスもご利用いただけます。仕事だけでなく、新たな出会いや気づき、人と人とのつながりが生まれるような場所にしたいと思っています。行ってみて場所がないということでは、「時間と空間からの解放」を実現できないため、混雑度だけでなくどの席が空いているかを見えるようにし、デジタルコミュニティマネージャーを利用して、どんな人がワーカーズラウンジのどこにいるのかわかるようになっています。
「ビルに人が合わせる」から
「ビルが人に合わせる」へ
赤坂:データ利活用を前提として開発されたアーバンネット名古屋ネクスタビルは、これまでのビルが「ビルに人が合わせる」ものだったのに対して、「ビルが人に合わせる」ことをめざしています。また、竣工後ビルの運用管理を担うメンバーの役割も変わっていかなくてはいけないと考えますので、開発フェーズから参画してもらって一緒に開発計画の策定を行いました。
これまでのビル以上に膨大なデータが蓄積されると思いますので、それをどう分析し活用するか。また機械的に集められたデータだけでなく、日々の入居者の方々とのコミュニケーションから得られる生の声をどう活かすか、更にはエリアマネジメントという観点で地域と連携しながら、イベントやコミュニケーションの発展形などこの建物だけでは実現できないような付加価値をどう提供していくかということも重要ですね。
大崎:街づくりDTC®のキモは予測・シミュレーションと言いましたが、所定の時間に注文を受けても配送できないということがないように、ロボットの配送時間やルートを人が混雑する時間帯・場所を避けるなど、先回りしてサービスが提供されているということを、この街区にいる方々はひょっとしたら気がつかないかもしれないですけど、このビルにいるとなぜかストレスを感じないとか快適に過ごせるように、街づくりDTC®が支えとなって、「またこのビルに来たい、働きたい」と思ってもらえたらと思いますね。
赤坂:いろいろな想いや狙いを詰め込んだのがこのアーバンネット名古屋ネクスタビルですが、結局重要なことは「人」であると思います。この開発計画に込めた思想を、運用・管理フェーズでも持ち続け、NTTアーバンソリューションズグループ一丸となって、ビルも街も成長させ続けていきたいと考えています。