メインキービジュアル画像

CASESTUDY_TEXT

CS01_main

2023年3月31日に、旧広島市民球場跡地にオープンした「ひろしまゲートパーク」。基町エリアと呼ばれるこの街区では、今後も2024年2月にサッカースタジアム、2024年8月にひろしまスタジアムパークの開業が予定されています。先行して「ひろしまゲートパーク」では、将来を見据えながら自動走行ロボットや次世代モビリティの実証実験をはじめ、XRやアプリの活用、AIカメラでの混雑状況、人流分析などの「街づくり×デジタル」の施策が行われています。

  • 本ページに掲載されたサービス名や登場する人物の所属会社名及び役職は2023年12月時点のものとなります。

取材:わが まち みらい・実績レポート取材チーム

ゲートに込められた2つの意味

「『ひろしまゲートパーク』の"ゲート"には2つの意味が込められています」と、NTT都市開発中国支店広島プロジェクト推進室担当課長 桑原誠さんは話します。

「ひとつ目は、"新たなライフスタイルの入口"としての"ゲート"です。河川敷でのバーベキューなど、屋外アクティビティが盛んな広島ならでの外の空間の新しい楽しみ方としての公園です。

もうひとつは、"回遊性の入口"としての"ゲート"です。ひとつ目が主に市民の方々向けとしますと、こちらは観光や来街者の方々を意識して、原爆ドームや宮島だけではない広島の魅力の発信の入口として、今後新たに開業するサッカースタジアムや広島城などのエリアや街なかを巡っていただく入口としての想いが込められています」

「その中でICTが果たす役割は2つあると考えています。ひとつ目は人手ではできないようなことをICTで実現する。例えば、開業イベントのひとつとして、数百枚におよぶ設計図面からデータを起こしたXRで、旧広島市民球場の様子を再現しました。市民の方々に愛され親しまれた球場の記憶や思い出を大事にされている方々から大変ご好評の声をいただきました」

CS01_01
旧広島市民球場跡地にオープンした「ひろしまゲートパーク」にて、記憶の継承のひとつとしてホームベースにアプリをかざして球場の風景がデジタルデータとして再現されるコンテンツを作成

「またもうひとつは、人手の代わりとなるICTの活用です。自動走行ロボットの実証実験や『C+walk T』と呼ばれる次世代モビリティを使って、広域への移動のハードルを下げる施策です。いろいろな場所を巡る動機づけとして活用いただくだけでなく、パーク内のアイテムから観光スポットを巡るツールへの発展を期待しています」

機能以上の付加価値が
新しいつながりのきっかけに。

「C+walk T」の導入に際して、広島トヨペット CLiP HIROSHIMAディレクター 河江直輝さんは「広域の周遊性という課題解決に向けた取り組みとして『C+walk T』は活用できるのではないかと考えます」と話します。2021年10月にトヨタ自動車で開発された「C+walk T」は免許やヘルメット不要で歩行領域の走行が可能な次世代モビリティです。最大時速6kmで早歩きぐらいのスピードでの移動が可能です。

CS01_01
広島トヨペット CLiP HIROSHIMA ディレクター 河江直樹さん。搭乗しているのが本文でも紹介の「C+walk T」

「『ひろしまゲートパーク』での実証実験は、お子さんやご家族で体験される方々に好評で、新たなアクティビティの要素として認知されはじめました。今後は設置されたスマートフォンのアプリによって、周遊しながらのエリア観光案内なども充実させていこうと考えています」とのこと。基町エリア内の隣接施設のオープンに伴い、より多くの需要への期待が高まります。

CS01_01
「C+walk T」に搭載できるスマートフォンのアプリ画面で、園内のさまざまな施設の観光案内がチェックできる

また、自動走行ロボットの実証実験に関して、NTT都市開発デジタルイノベーション推進部 武井梨乃さんは次のように話します。

「NTTグループが管理・運営するパークとして、ICTを活用して新しいワクワクを来園者の方々に感じてもらえればと思っています。また管理・運営の方々にとっても、ICTによってより効率的な業務サポートを行うことも目的としています。

公園内を走行する自動走行ロボットの実証実験においては、園内警備としての巡回パトロールだけでなく側面のサイネージを使ってパーク内の店舗のご案内なども行うというマルチユースな運用実験を行なっています。関係者間調整などは複雑になりますが、新しいチャレンジとして取り組んでいます。

またマルチユースであるために不明瞭になりがちな目的をいかにしっかりと伝えていけるかという点にも注力しています」

CS01_01
自動搬送ロボット「ハコボ」(パナソニック ホールディングス株式会社)
CS01_01
実証実験で園内を走行するロボット。園内の自転車走行禁止のアナウンスをはじめ、側面のサイネージで店舗情報も表示する。子どもたちが興味深くロボットに近づくシーンが見られる

ロボットへのパトランプ設置提案など、実証実験を通じてさまざまなご意見や声を聞くことができたと武井さんは言います。

そんな中で「ロボット走行中には、よくお子さんたちが興味を持って近づいてきてくれます。ある時、英語で話すお子さんと日本語で話すお子さんがロボットを介して楽しげに会話している様子も見受けられました。警備や情報発信のロボットではありますが、そうした機能以上の付加された価値もあるのではないかと感じました」という印象的なシーンを教えてくれました。

CS01_01
NTT都市開発中国支店 広島プロジェクト推進室担当課長 桑原誠さん(画面右)
NTT都市開発デジタルイノベーション推進部 武井梨乃さん(画面左)

公園エリアを面としてアップデート。
賑わいと回遊性向上の将来像へ。

「ひろしまゲートパーク」をはじめとした基町エリアの中で、広島市中央公園エリアの今後を「Urban Park Life HIROSHIMA」という、ライフスタイルを実現するための構想を描いていると話すNTT都市開発中国支店広島プロジェクト推進室部門長 岡本篤佳さん。

「もともと広島市全体の課題として、街なか施設の老朽化、職住集中の脆弱さ、観光・来街者の方々の連泊・リピート率の向上などの認識がありました。そこで県と市が一緒になって活性化プランが立案されました。そこから出てきたのが、"誰もが集える、賑わいと交流の都心(まち)、ひろしま"という将来像です。

NTTアーバンソリューションズグループとして、それをかたちにしていく中で『広島街づくりビジョン』を作成しました。大きな要素は4つです。職住近接のライフ/ワークスタイル、プロスポーツの活発な広島として、スポーツ、アート、カルチャーの充実、国際平和文化都市の発展に寄与する交流拠点、シビックプライドにつながる都市空間。

その取り組みから、まずオープンしたのが『ひろしまゲートパーク』です。そして2024年2月に開場するサッカースタジアムおよび2024年8月にスタジアムを含む新たな公園『ひろしまスタジアムパーク』が続きます。

こうしたビジョンの実現性を高めるために、ICTの果たす役割を発信していくことが重要だと考えます。例えば、人流解析・ビジネス用の高速Wi-Fiなどは利便性の向上に、XR・『C+walk T』などは魅力の向上、自動走行ロボットは管理の効率化などを導入目的としており、これらが一過性に終わることなく、適切にアップデートを重ねていければと考えています」

CS01_01
NTT都市開発中国支店 広島プロジェクト推進室部門長 岡本篤佳さん

"黒子"として全体を統合し、課題と向き合う。

また、岡本さんは続けて「ただ、こうした構想は独りよがりで進めるのではなく、さまざまな関係者の方々と議論を重ねながら行うことが重要です。多様な地元企業の方々ともコンソーシアムをつくって連携したプロジェクトであることが、今回の開発の特徴のひとつです。ICT活用をはじめとしたNTTグループやNTTアーバンソリューションズグループとしての強みを活かしながら、あくまで主役は利用者である街の人、私たちは"黒子として"全体をいかに統合していくかという課題に向き合っているところです。

将来像としては基町エリアで集めた人流を近接の中心部へ波及することで、私たちだけでなく市民の皆さんとともに広島の街を盛り上げていきたいと思います。

さらに、『ひろしまゲートパーク』をはじめとした基町エリアの人流分析の活用と検証を主体的に行い、公園という舞台でICT施策を実証実験し蓄積されたノウハウを、広島をユースケースとして全国にも展開していくことも重要なポイントだと考えています」

CS01_01
公園内の飲食店・ショップエリアは「市民の方々と一緒に」という想いを込めて、
「SHIMINT HIROSHIMA」と名付けられている
CS01_01
大きく印象的な形の園内の大屋根ひろば。この屋根の下部に賑わいを可視化して
混雑状況を確認するためのAIカメラが設置されている

期待できる価値創出

今回の「ひろしまゲートパーク」における自動走行ロボットや「C+walk T」の実証実験、人流解析、AIカメラによる混雑状況可視化などの施策から期待できる価値とは何でしょうか。

桑原誠さんは「リアルな体験価値の向上を支え補完するためのICT」と話します。

「ICTを使うことでどうしてもバーチャルなコンテンツのイメージが先行しがちですが、人々が実際に集う公園はリアルな場です。例えば『C+walk T』によって巡る中で、石碑に込められたエリアの記憶に触れることで、受動的な情報でもそれを知ることで能動的な体験価値になりうるのではないかと思います」と、補完の意義を話します。

そうした実際の体験価値がICTを通じて市民の皆さんと増えていくことで、求心力や魅力をもっと発信し、賑わいやつながりを創出することで、構想にとどまらない街づくりへの発展が期待されます。

YouTube動画 move 再生ボタン
動画レポートはこちら

レポートのまとめ

  • リアルな場で、人手ではできないことや
    人手の代わりでICTを活用。
  • ICT活用を一過性にせず、
    構想実現に向けてアップデート。
  • 主役は利用する街の人。
    "黒子"として、賑わいやつながりを創出。